白寿観音だより

白寿観音霊場会に属する寺院の住職より寄せられた文章をもとに、年2回ほどのペースで『白寿観音だより』の発行を予定しています。

御挨拶

会長 東仙寺 鶴田徹真

時下 御尊住皆々様には御健勝にて四衆御接化の事と拝察申し上げます。

東海白寿観音霊場、因縁熟して結成はや十五年経過するに至って居りますが、何かと皆様方に萬端不行届にて御無禮の数々何卒御寛恕くださいますよう伏して御願い申し上げます。

昨今家庭や地域社会も急激に変容し、物資面では豊かになった反面、個人の価値観やライフスタイルも大きく変わり、人と人とのつながりも希薄化してまいりました。

此の様な社会状況の到来により、地域社会で児童虐待や高齢者の虐待、子育て家庭の社会的孤立などテレビや新聞などニュースを見ても目にあまる悲しい事ばかりです。

今こそ佛教の正しい教えと真理を知らしめ、観音様の大慈大悲の心を知らしめ、御寺の教化こそが明るき一燈をともし衆生救済のために精進すべき時ではないかと思います。

白寿観音霊場会の御住職様の善知識を結集し、今後増々の発展のため、何卒越格なる御教導と御法愛を賜りますよう幾重にも御願い申し上げますと共に尊刹の寺門興隆を冀い御法躰堅固ならん事を念じ上げ御挨拶とさせていただきます。

合掌

観音様のお力

白寿観音霊場第十三番
九品寺住職 別所泰広

私たちが一般に観音様と呼ぶ仏様は、正式には、観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)と呼ばれる仏様で、聖観世音菩薩、十一面観世音菩薩、千手千眼観世音菩薩、馬頭観音、慈母観音、水子観音、さらには、私どもが所属します白寿観音霊場の白寿観音等、様々の観音様がおいでになります。

それでは、その様々の観音様の持つお力とはいかなるものでしょうか。『法華経(ほけきょう)』というお経の中に、次のような観音様のお話が出てきます。

ある時、無尽意菩薩(むじんにぼさつ)というお坊様がお釈迦様にお尋ねになりました。
「観世音菩薩は何故に観世音という名がついているのですか」
それに対してお釈迦様は次のようにお答えになります。
「無尽意よ、あなたは観世音菩薩の修行についてまず聴いておくれ。そうすれば観音様のなのいわれが良く判るだろう。その観音様の修行とは、多くの所のすべての人々のねがいによく応えようとなされるもので、そのために弘く深い大海の様な誓いをたて、長い年月にわたって、多くの仏様に仕えようと、大きな清らかな願いをおこされたのだよ」と。

さらにお釈迦様は続けられます。
「その願いを叶えるために、私たちには考えられないほどの長い年月修行を続けてこられたのだよ。そして、多くの仏様につかえ、その仏様の使いとして私たちの苦悩の世界に現れて、すべての衆生を救うために日夜奮闘しておられる。よって、観音様の名を聞いて、又お姿にまみえたときに、心に深く念じてひたすらに帰依の心を捧げたならば、観音様はその念ずる人のあらゆる苦しみを無くしてくださるのだよ」と。

そして、その徳行の具体的な力を説かれますが、要約すると次のようになります。

その第一は「火難」から救われることです。火の難、すなわち火事は私たちにとって避けがたいものです。どんなに注意しても火事は起こり、すべての物を灰にします。観音様に祈ることによってそれから逃れるすべを知り、又、火事に遭遇しても、観音様の力によって救われます。これは、私たちの心に巣食う「怒りの炎」をも静めてくれることを意味します。

第二は、「水難」から救われることです。大海原に漂い流されて、大波やサメ等の災難に遭っても、彼の観音の力を念じれば、命を救われます。これは、欲の深みにはまって溺れるものを救うことを意味します。

その他、お釈迦様はさらに十一の例を挙げて、観音様の功徳をお説きになっておられます。

このように、観音様は数知れないお知恵をお持ちです。
貪欲(どんよく・むさぼり)・瞋恚(しんに・怒り)・愚痴(ぐち・おろかさ)の三毒は、私たちが生まれながらに持っているもので、私たちを悩ませます。これを無くせばもっと楽に生きられると判っていてもどうしようもありません。

この三毒からくる悩みを解消する手だての一つは観音様のお知恵を拝借することです。
観音霊場を巡り、一つ一つお知恵をお借りして、人生を楽しく、正しく前向きに生きたいものです。

合掌

現況報告

萬勝寺 閑栖 悲佐田明俊

自慢話のようで申し訳なく恐縮に存じますが現況をご報告致します。当寺は現在、年間十万人程の参拝者がある寺です。しかしながら少し前迄はそんな事はありませんでした。檀家数二十八戸、山深い田舎の小さな小さな寺でした。拙僧住職前は隣寺の和尚様に兼務をして戴き農業で生計をたてていましたが、何とかせねばと、私なりの努力の甲斐あって現在に至っております。

お守り、お札等三十種類程ありますが白寿観音様については、ボケ封じお守りと無病念珠があります。両方共年間三百本ほどお迎えされます。念珠については当初ボケ封じ念珠としていましたが、これほどあからさまでは親にも迎えていけないという方、又ボケ無いように喜ぶ方もありましたが、今では無病としております。

何に致しましても皆様にお詣りして頂くには、小生の信条としまして皆様がお詣りしやすい環境作りと申しますか、お花は常に新しくする、線香立てはきれいにしておく。草取り等掃除をよくする等、トイレは毎日掃除する事等、当たり前の事をすることだと思っております。大変野暮ったい事を申し上げ恐縮に存じます。失礼致しました。